「のだめカンタービレ」ファン必読の書、「ボクたちクラシックつながり」
ピアニスト・文筆家の青柳いづみこさんが書かれた、音楽マンガ解説&検証&音楽裏事情本です。
ボクたちクラシックつながり―ピアニストが読む音楽マンガ (文春新書 622) 青柳 いづみこ 文藝春秋 2008-02 売り上げランキング : 1396 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
書籍の内容は、「のだめカンタービレ」「ピアノの森」「神童」という、3大音楽コミックを対象に、プロの音楽家の視点からそのストーリーをクラシック音楽界の現実と比較し、鋭い切り口でおもしろおかしく語ってくれています。加えて、一見華やかに見えるクラシック音楽界の裏事情も満載です。
音楽にさほど精通されていない方でも楽しめると思います。巻末には用語解説もついてます。
トピックス的に、いくつか引用しておきます。意味がとりやすいように[]で一部補足しています。
「第一章:一回読譜したらとっととやるぞ!」より
『暗譜』と『初見』は(略)千秋のように(略)両方の能力が備わっているのはけっこう珍しい
[暗譜で]ルービンシュタインは(略)「コーヒーをこぼしたしみのあとも、くっきり目に浮かんできますよ」
「第二章:楽譜通り弾け!」より
モーツァルトは自作の協奏曲を二度と同じようには弾かない(略)のに、他人が自分の作品を弾くときは(略)正確に弾くことを望んだ
パリ音楽院で、のだめの読譜のレヴェルで合格することはありえない
「第三章:バレンポイム対ホロヴィッツ!?」より
千秋はとても手が大きい(略)十度音程が(略)アルペジオになるところもちゃんと普通に和音で弾いてます
のだめはホロヴィッツそっくり(略)ホロヴィッツは(略)楽譜には書かれていないものをつけくわえて弾くのが得意でした
「第四章:コンクール派と非コンクール派」より
練習中に右手薬指を痛めてしまった先生[安川加壽子さん]は、(略)あろうことか自分の鼻で足りない鍵盤を押さえます。
のだめのモデルの一人が(略)ポゴレビッチではないかと言われています。
「第五章:留学-クラシックをやるなら海外でなきゃ駄目?」より
のだめのパリ留学、疑問だらけです。
日本のピアノ界の教育システムで一番問題なのは(略)音楽大学だということです。
「第六章:指揮者の謎」より
[指揮者に]問われてくるのは、人間性ということになります。
[指揮者・チェリビタッケは]調弦からして普通の指揮者と違う(略)コントラバスの調弦だけで一時間かける。
「第七章:コンサートで受けるプログラム」より
のだめは(略)ベートーヴェンよりは「ゆるい」シューベルトを選んで正解でしょう。
演奏会を「ボレロ」ではじめるのは危険すぎる
「第八章:音楽は人間が出る?」より
のだめは、以外に競争心が強いのです
千秋は最高の教師
「第九章:ピアニストは本当に不良債権か?」より
自分の弾きたい曲目でのリサイタルは(略)自主公演だったりします(略)赤字が出た場合は自分でかぶるのです。
音楽家でいいなと思うのは、いつも脳内モルヒネが流れていて(略)進歩があったり(略)すばらしい演奏を聴いたりすると、それだけで幸せになって(略)生きていける
味気ない編集になってしまいましたが、実際はとても心地良い文調です。
Posted by yujiro このページの先頭に戻る
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コメント
プライベートな質問になり失礼かもしれませんが、音楽活動は続けておられるのでしょうか。
[1] Posted by oyaji : February 29, 2008 7:36 PM
>oyajiさん
こんばんは。
ご無沙汰してます。
まあ、ぼちぼちですね…(笑)。
[2] Posted by yujiro : March 1, 2008 1:26 AM
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greeting