本を出版する方法
ライター業とまったく縁のなかった私が、ここ1年余りで4冊のコンピュータ関連書籍と雑誌の執筆に関わることができました。
このエントリーでは、「本を出版したい」「雑誌に寄稿したい」という方のために、どのようにすれば書籍の執筆や雑誌の寄稿に携わることができるかをお伝えしておこうと思います。
ただし、あくまで経験上の話をまとめたものでしかないので、出版できることを確約するものではありません。また、私自身は Movable Type 関連書籍の執筆しかしていないので、内容はかなり偏っているかもしれません。その点は予めご容赦ください。
1.ブログで専門的な技術情報を継続的に提供する
執筆の依頼を頂いた、一番の要素はこれです。このブログで Movable Type というブログツールの記事を書き続けたことで、出版社や編集会社の方から声がかかりました。
書籍の執筆には、一般の人(=読者)が読めるための文章力が必要です。大げさかもしれませんが、依頼を受けるには、技術だけでなく文章力も問われるので、ブログはその両方が試される第一関門と言えるでしょう。言い換えると、ブログに書く文章はそのまま書籍や記事にしても大丈夫な内容の方がいいかもしれません。
また、私の文章が読みやすいかどうかは分かりませんが、エントリーでカスタマイズの手順などを細かく掲載したのも良かったのかもしれません。
ただし、執筆の話を頂くまでに、ブログを始めてから約3年弱の歳月が流れているので、出版を目指してブログを始めようという場合、それ相応の根気が必要です。
2.書籍として成り立つ技術情報を提供する
ブログで提供している情報が優れていても、出版社に利益が出ない情報では、執筆に結びつけるのは難しいかもしれません。ブログツールで例えれば、複数の種類が世に出回っているにもかかわらず、書籍として多く出版されているのは、今のところ Movable Type と WordPress のみです(1冊だけ出版されているものもあります)。
ただし、何がいつヒットするかは分からないので、コツコツと情報提供を続ける価値はあるかもしれません。個人的にはそういったこととは無関係に、自分が好きなことを書いているのであれば、その方が良いと思います。
3.コネを作る
1冊目の書籍「WEBデザインの新しいルール」の執筆の話は、突然舞い込んできたのですが、実は全く突然という訳ではありませんでした。
その話を頂くかなり前に「MOVABLETYPE PLUGINS DIRECTORY」という書籍に、当ブログの記事掲載依頼が来まして、その時、連絡を頂いた編集会社の方に「どうすれば本を書けるでしょうか」と質問をしたのがきっかけです。
たまたま連絡をした担当の方が出版について親切に教えてくださって、その時は別のブログツールの出版の話を進めていました。
残念ながらその話は途中で頓挫してしまい、さらに当時、Movable Type は3.3 が出た後で、出版業界では「MT本は(何冊も出回ってるので)出しても売れない」という状況だったらしく、MT本の執筆ができない状態だったところに「WEBデザインの新しいルール」の話を、先ほどの編集会社の方から頂きました。
記事紹介などの話がきたら、その時に問い合わせるか、あるいは出版社や編集会社に積極的に連絡してアピールするのも手かもしれません。
4.キャンセル待ち
というのは語弊がありますが、「WEBデザインの新しいルール」や「CMSとして使うMovable Type」は私が第1候補ではありませんでした。当初予定していた執筆者の方の都合がつかず、3項の編集会社の担当の方から、私に話が回ってきたのです。
他の技術書などでこのようなことがよくある話かどうかわかりませんが、このように代理の執筆者を探してでも本を出版するのは、出版社が事業計画として本を刊行しているので、事業が計画通りに進まないと赤字になるのではないかと推測されます。
そういう訳で、いつどこから話が舞い込んでくるか分かりません。
5.リピート
書いた本の売り上げがよければ、同じ出版社から声がかかる可能性がありますし、もうすぐ出版される「Movable Type パーフェクトガイド」は全く別のところから(キャンセル待ちではなく)話を頂きました。
6.執筆の稼動
「本を出版する」というのは一見華やかな印象がありますが、相当の労力を要する覚悟が必要です。執筆と校正は時間との戦いです。
本を出版した後、更新頻度が落ちてしまったのではないかというブログもいくつかあるように思われますし、執筆者の中には「(本は)もう書きたくない」という方もいらっしゃるようです。
個人の能力にもよりますが、そういった労力や結末を厭わないという気持ちは心の片隅にとどめておいた方がいいかもしれません。
そういう意味で、私にとって、ライター業を専門にしている方は尊敬に値します。
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